連載 5日目 【誰でも試作品は作れる】 ●試作品を作る気がおこる 発明学校で筆者は、ときどき試作の話をします。 そのとき、何人かの人から、作りたくても材料がどこに売っているのかわかりません。 私は不器用だからできません。……など、試作ができません、難しい、と訴えます。 また、とても自分の手に負えないから、どこか試作してくれるところはありませんか、といった質問も良く受けます。 たしかに、人には器用、不器用があるでしょう。上手、下手の差もあるかも知れません。 でも、日本人はむかしから、手先が器用だと言われています。 たとえば、のこぎりと金槌を持たせれば、簡単な棚くらいは誰でも作れるはずです。 紙の工作なら、小学生の図画工作の時間に、ボール紙を切ったり、曲げたりしていろいろな形のものを作った経験が誰にでもあるでしょう。 発明の世界では、できない、だめだと否定する言葉はタブーです。できなかったらできるように、だめだったらだめな条件をなくす、それが発明活動だからです。 したがって、試作ができないという人は、はじめからやる気がない人だと思います。 できない理由を本当に上手に説明してくれる人がいます。試作品を作れない理由を考えるより、発明活動をした方が早く商品化も実現すると思いますよ。 ● 作品の内容を説明するのはあなた自身 試作品を作ってくれるプロもいますが、たとえ、試作品を作ることがプロであっても、作品は他の人が考えたものです。 だから、依頼する人が作品の内容を詳しく説明して頼まなければ、満足のいく試作品は作ってもらえません。 冗談でしょうと、いわれそうですけど、電話で相談する人の中には内容がとても簡単です。 だから、電話で説明しますので、試作品を作ってください、といってくる人もいます。 図面もないのに、どうして、説明だけでわかると思いますか? ……、といいたいのですが、本当に困ってしまうこともあります。 人を紹介するとき、顔写真がないと、ムリでしょう。電話だけでは説明できませんよね。想像だけは膨らむと思いますけど、……。 実際に会ってみると、全然違うタイプだったりします。 人と待ち合わせ場所を決めて、電話で説明しているときを想像してください。 FAXやメールがあれば地図を書いて送るでしょう。長々と時間をかけて説明するよりその方が簡単です。 しかも、すぐにわかります。 もしも、作品の内容が簡単だったら、自分で作れるハズです。 それが作れないというのは、難しい内容なのです。きっと、……。 また、試作品は、新しい作品をたった1個だけ作るのです。だから時間もかかります。 プロに頼むと多額の費用もかかります。それでも、どうしても、プロに頼みたいときは、費用を聞いてから頼んでください。 筆者は、各種発明コンクールの審査員を頼まれます。したがって、入選した人を何人も知っています。 その中の多くの人が、おのおの自分に応じた方法で商品化を実現しています。 ところが、商品化を実現させるのに、共通で絶対に欠かせない条件があります。 それは試作です。試作がない作品で商品化が実現した例は、私の知る限り、1人もいません。 だから、筆者は「試作品がない作品の商品化は実現しない……」とかたく信じています。 ● 発明は試作によって開眼する 作品の商品化が実現するかしないかの分かれ道は、試作によって決まります。 頭で考えた作品は、自分でいくら立派な考えだ、と思ってもみんな、そうなるだろう、といった予測です。 したがって、試作品のない作品にはスポンサーは付きません。 商品化を実現させた多くの人は、みなさん「試作なくして素晴らしい作品はできません」「素晴らしい作品は試作で完成します」と口をそろえていっています。 発明は、頭で考えながら、手で作る共同の作業でないと、完成しないのです。 ところが、作品を考える人の中に、試作は苦手だ、不器用だから……といって、試作品を作らない人がいます。 それでは、せっかく、創作した作品が想像のままで消えてしまいます。何の役にも立ちません。 ところが、試作をすれば、たとえ、それが紙や手もとにある材料を使った、手作りの作品であっても、素晴らしい作品が完成するのです。